写真を撮影するときに保存形式をRAWにしている方は結構いるのではないでしょうか。
私も基本的にRAWで撮影してます。
RAWで撮影すると後で写真の調整が綺麗にできるからです。
特に色を変更する時はRAWでないとだめというくらいです。
その色ですが、パソコンのディスプレイはきちんと正しい色を表示できているのでしょうか。
買ったときのまま何も調整していない方は、おそらくちゃんとした色を表示できていないのです。
では、どうしたらちゃんとした色を表示できるようになるのか。
それはカラーキャリブレーションを行うことです。
カラーキャリブレーションとは
カラーキャリブレーションの意味を理解するためにそれぞれの単語を分解してみてみましょう。
カラー=色
キャリブレーション=較正
これらをつなげると「色を較正すること」
すなわち「色を規格に合わせて調整すること」という意味です。
ディスプレイはある色の信号を表示する時はその色を表示するように設計されています。
しかし、ディスプレイの個体差や経年劣化などによって信号とは違った色が表示されてしまうことが多々あります。
それを実際に様々な色を表示させて、その色を確認しながら調整することがカラーキャリブレーションです。
カラーキャリブレーションの目的
前項でも挙げたように色にはsRGBやAdobe RGB、NTSC等の様々な規格があります。
この中でパソコン用として最も普及している規格だとsRGBがあげられます。
多くのディスプレイはこの規格に則った色を表示するように調整されています
しかし、世の中のディスプレイの多くは規格どおりの色を表示できておりません。
それはコストの問題で出荷時に色を調整していないもの場合や、出荷時に調整されていても何年も使用していると経年劣化で色がずれてしまう場合があるからです。
そういった規格に則った色を表示できていないディスプレイを調整することがカラーキャリブレーションの目的です
カラーキャリブレーションが必要な人
ディスプレイを使用してただ文字情報を扱っているならば特にカラーキャリブレーションは必要ありません。
文字の色がずれていようが、文章に含まれる情報が読み取れれば問題ないからです。
しかし、以下の作業をされる方は画像や動画を主に扱っております。
その為、カラーキャリブレーションが必要です
- ネットショッピングをする人
- 写真を現像、編集している人
- イラストレーター
- 動画を作成する人
なぜキャリブレーションが必要なのか
撮影した写真を現像、編集する人
更にその写真をSNSやブログ等インターネットに公開、または他の人に見せることがある人は特にカラーキャリブレーションが必要となります
下の写真を例に解説していきます
左側の写真が元の画像です。
右上の写真がキャリブレーションされていない環境で色やコントラストを編集した画像です
右下の写真が本来意図した色の画像です。これは右上の画像と色データは同一です。編集する人にはこの画像が表示されています。
編集した人には右下の本来意図した色の画像が表示されているため、一見キャリブレーションしなくても問題ないように見えます。
しかし、問題があるのです。
①この画像を他の人のディスプレイで表示したときに映る画像は右上の画像となってしまう。
つまり本来意図した画像が表示されないのです。
*厳密にはそれぞれの環境で表示される色等は異なりますが、ここでは説明を簡単にするために右上の画像で統一させてもらいます。
②編集した人の本人も環境が変わることで全く異なる色が表示されてしまう。
ここでいう環境が変わるとはディスプレイを変えたときです。
今使っているディスプレイが古くなったから買い替えた、それだけでせっかく編集した写真の色が変わって見えてしまうのです。
ではどうすればいのか、キャリブレーションを行えば良いのです。
キャリブレーションしていないディスプレイで写真の現像や編集を行うとします。
その環境で見ていてこの色がおかしいと判断して色やコントラストを調整すると正しいディスプレイで表示した際に色やコントラストがずれてしまうのです。
せっかく時間をかけて調整したはずが、実は本来の色を崩していただけになってしまうのです。
せっかく現像していい写真ができたと思ったらその色はあなたのディスプレイでしか表示されません。
他のディスプレイで見てもその色は再現できないのです。
さらにディスプレイの色は経年劣化でどんどんおかしくなっていきます
そのため、キャリブレーションしていなければどんなに頑張って編集しても、時間が立つとその色はずれてしまっているのです。
キャリブレーションしていれば、再度キャリブレーションを行えばその色は再現できますが、キャリブレーションしていなければ、その色はもう再現できません。
ネットショッピングをする人でもキャリブレーションしておいたほうがいい
ネットショッピングをするとき多くの方は画像を参考にしていると思います。
特にデザイン性の高い商品、洋服やアクセサリー、家具、インテリア等を購入する場合は画像を見比べてデザインや色を判断して購入します。
しかし、その画像を見ているディスプレイの色がずれていたら
せっかく画像を見比べて気に入った色の商品を購入したのに、いざ手元に届いたら色が違う。
返品が認められればまだいいですが、返品が認められなければ気に入らない色でその商品を使い続けなくてはなりません。
これではせっかくの楽しいショッピングが台無しです。
こういった問題を起こさないためには使用されているディスプレイをカラーキャリブレーションするしかありません。
ただ、ちょっとのひと手間で格段にネットショッピングが楽しめるようになります。
ネットショッピングを楽しみたい人はぜひカラーキャリブレーションを行ってください。
カラーキャリブレーションに必要なもの
必要なものは以下のものです
- 色を出力するもの(PC)
- 色を表示するもの(ディスプレイ)
- キャリブレーター
おそらく写真やイラスト、動画の作成を行っている人はすでに出力するものと表示するものをお持ちだと思いますので、新たに購入するものはキャリブレーターのみとなります
このキャリブレーターが色を調整する機器となります。
以下の製品が代表的なキャリブレーターです。
並行輸入品でも製品やソフトウェアに違いはないので、お好みで選べばいいと思います。
なぜキャリブレーターが必要なのか
カラーキャリブレーションは機材がなくても行うことは可能です。
しかし、大半はキャリブレーターを使用して行います
その理由は正しく色を調整するにはとてつもなく労力がかかるからです。
色を合わせるにはまず基準となる”正しい色を”表示するものを用意しなくてはなりません。
なぜなら正しい色に合わせなくては調整する意味が無いからです。
その理由は2つあります
1つ目はとてつもない労力がかかること
2つ目は合わせた色が本当に正しいのか、それを客観的に証明することができない
人の目は色を絶対評価することができません。
直前に見たものの色が残像として残ってしまったり、周囲の色によってものの色が変わって見えます。
せっかく綺麗に写真が撮れた、イラストに色を塗った、なのに、その色が正しくない。
こんな切ないことはありません。
ぜひカラーキャリブレーションを行って見てください。